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レッスンルーム | |
あかり | ここがレッスンルームかぁー……。 わぁー、すっごくオシャレな雰囲気! |
あかり | うちの学校の体育館とか、あちこちが結構ぼろくって。 ここは全然違いますね。さすが都会のアイドル事務所っ。 よーし、やりますよー! |
あかりの初レッスンが始まった…… | |
あかり | 山形を!山形のりんごを!よろしくお願いします! ……あっ、大きな声ならいいってわけじゃない? は、はい……。 |
あかり | た、体力には、自信が……あるんです。 でも……ダンスって、疲れるんですねっ……! |
あかり | 表現力なんて、考えたことなかったなぁ。 りんごスマイル一本で……は、ダメですかー、はーい。 |
数十分後 | |
あかり | んご、んごぉ~……。 いろんなところが、くたくたで…… あかりんご、ちょっとしなびてるんご……。 |
P | 大丈夫? |
あかり | は、はい、なんとか。ありがとうございます……。 アイドルのレッスンって、大変なんですねー。 |
あかり | あ、いえ、簡単だーとか思ってたわけじゃないんですけど。 でも、想像してたよりもずっときつくって! |
あかり | 私、ついていけてないって感じ……でした? プロデューサーさんのこと、がっかりさせちゃってないかなぁって。 |
P | そんなことはないよ |
P | 君をアイドルにするのが、自分の役目だから。 |
あかり | はあぁ~……。 優しい言葉が、いまはホント身にしみます、あはっ。 |
あかり | 気にかけてもらえるの、嬉しいですけど、その…… なんか、申し訳なくなってきちゃいますねっ。 |
あかり | せっかくここに来たんだし、どうせならアイドルになりたい! って気持ちは、一応あるんですけど。 ……なれるのかなぁ? |
P | 努力すればきっと |
あかり | は、はい。 ですよね、うん……努力かぁ。 |
P | 何か気になった? |
あかり | いえ、大丈夫です! あかりんご、レッスンいっぱい頑張るんご。 |
P | 遠慮しないで言ってみて |
あかり | あぅ……えっと、こんなこと言ったら、叱られるかなって思いますけど、いいですか? |
P | いいよ |
あかり | 私、頑張るとか努力するとかって、苦手というか……あまりいい思い出がなくて、ピンとこないんですよ。 |
あかり | 昔、地元にひどい台風が来て、うちのりんごもいっぱいダメになっちゃったことがあって。 私も世話してたから、すっごく残念で。 |
あかり | でもその時、父ちゃんたちも周りの人たちも、みんな言ってました。 |
あかり | 自然の力には逆らえないから、いつだって覚悟はしておくんだ、って。 |
あかり | どんなに頑張っても、どうしようもない時ってあるじゃないですか。 だから……なーんか頑張ってもなぁーって。 |
あかり | あ……すみませんっ。 プロデューサーさんに育ててもらってるのに、こんなこと言ったら失礼だったかな……。 |
P | その考えもきっと正しい |
あかり | あやっ? えっと~、怒られないんですか? |
あかり | そっか、プロデューサーさんなら業界の厳しさとか知ってるし……こういうのも当たり前だったり? |
あかり | なら仕方ないですけど、でも私…… このまま返品されちゃったら、困るんごぉ……! 父ちゃんとお母ちゃんの期待もあるし……! |
P | ならまず、やるだけやってみよう |
あかり | はい? |
あかり | やるだけやる……ダメだったら? |
P | 結果に繋げることは、気にせずに。 ダメならその時に考えればいい。 |
あかり | はー……そんなふわっとした感じでも、いいんですか? |
P | いいよ。その方が、きっと君には合っているから。 |
あかり | ……あはっ、そうかも。 ふわふわな感じでいいなら、ちょっと楽になりそう。 |
あかり | りんごだって、のびのび育つ方がおいしくなりますし…… 私も一緒なのかも、あはっ♪ |
あかり | ありがとうございます、プロデューサーさん。 レッスン見ててくれて、変なこと言ってもちゃんと聞いてくれて。 |
あかり | レッスンの方はダメダメだったけど、でも大事なこと、教えてもらった気がします。 |
あかり | だから、まずはやるだけやってみますね。 プロデューサーさんの言う通りにっ♪ |
あかり | アイドルあかりんご、まだまだ……やるんご! |